飛鳥山 News blog

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消費税は優れた税制

こんばんは。くらげです。

最近は毎日、受験勉強にいそしんでいますが、最も重要なはずの卒論が一向に進んでいません。

そのような現状を鑑み、ブログという形で卒論に書く内容をまとめるとともに、資料を整理しようという算段です。内容について、読者の新たな見識となればこれ幸い、批判や指摘、質問があれば、どしどしコメントをお願いいたします。

 

さて、私の卒論のテーマは「平成の消費増税とメディアの報道」ということになっています。ざっくりと言えば、バカなメディアのせいで消費増税がどんどん行われ、平成は最悪な時代になってしまった…ということを論証してやろう、ということです。

 

基本的には、消費税に関する政治動向や経済動向について、メディア、特に朝日・毎日・読売・産経・日経の五大紙がどんなことを言っていたのか、整理していきます。

全ての記事を読むのは不可能なので、読むのは社説に絞らせてもらいますが…

 

そんなことで、そのうち新聞批判を開始するつもりですが、今日はその前提となる消費税の基礎知識について整理していきたいと思います。

今日の参考文献は『「消費増税」は嘘ばかり』(高橋洋一、2019年)です。

 

 

 消費税のメリット

こんなことを書いたら私が今まで言ってきたことと矛盾するようですが、高橋さんの本を読んで、「なるほど優れている」と納得してしまったのだから仕方ない。まずは消費税のどこが優れた税制なのかをまとめてみましょう。

 

脱税がしにくい

 

私たちは消費者が消費税を払っているのだ…という認識を共有しているように思いますが、それはちょっと違うようです。

例えば、消費者が最終的にモノを買う小売店舗で1000円の商品が売られていたとしましょう。商品にかかる税率は10%ですから、消費者は1000×10%=100円の消費税を小売店に支払います。

しかし、それ以前に、小売店仕入れの時に消費税を払っているのです。考えてみれば当然ですが…。仕入れ価格を700円とすれば、小売店は700×10%=70円の消費税を仕入れ先に支払っているわけです。

ですから、小売店は消費者から受け取った100円から支払った70円を控除して、消費税として税務署に納税します。納税額は100−70=30円になります。

つまり、商品は一番初めにそれを生産した業者から始まって、いくつもの業者を挟んで最終的に消費者の手に届きますから、その商品に関わった全ての業者の消費税の納税額の総和が100円になっているのです。

 

何が優れているのか、全然分からない…でしょうか?しかし、考えてみれば単純な話です。

例えば、消費者から消費税100円を受け取った小売店は、支払った消費税を控除するために、領収書などでそれを証明しなければなりませんが、仕入れ先の業者が消費税を誤魔化して、「いやあ、消費税を含めて770円を受け取ったことになってるんだけど、それ実は消費税込みじゃないんだよね」とか言い出したら…。小売店は控除が出来ず、100円全てを納税しなければならなくなります。

…分かりにくいので高橋先生の本から引用しましょう。

 

「消費税をごまかす人がいると、誰かがその分だけ税金をたくさん支払わなくてはならなくなる仕組みです。誰も損したくないですから、相互牽制が働くというわけです。お上が隅から隅まで監視をしなくても、放っておいてもごまかす人が減っていく仕組みです。」(p141)

 

なるほど、税務署は末端の小売店さえ見ていれば、後は民間同士で監視しあってくれるという、優れた仕組みとなっていることが分かります。お分かりいただけたでしょうか?

 

ちなみに、実際には、この仕組みは十分に機能していないのですが、そのことは後日まとめます。

 

徴税コストが安い

 

このことは、上の例からも分かる事でしょう。徴税担当者は、末端さえ監視していれば全てを監視していることになるのですから、とうぜん徴税コストは所得税法人税なんかよりも断然安くなるでしょう。

 

景気に左右されない

 

この点は批判されることも多いのですが…。

皆さんご存知のように、人は食べ物を食べなければ死んでしまいますから、例え景気が悪くなっても食べ物は買わなければなりません。そのため、消費支出は比較的安定的に推移するわけで、消費税も景気に関係なく同じような金額が集まる、というわけです。

疑われるのも嫌なので、この点は証拠を示しておきましょう。

 

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種類別税収の推移

1988年から2017年までの主な税金の税収の推移グラフです。

水色の線が消費税の税収を示していますが、変化している年は税率が変わった年なので、変わるのは当然です。

例えば2008年なんかが分かりやすいでしょう。法人税収はドカンと落ちているのに対し、消費税収は全然変わっていません。

 

まとめ

以上の3点、「脱税がしにくい」「徴税コストが安い」「景気に左右されない」ということが消費税のメリットとして挙げられるでしょう。

財務省が「消費税を上げたい」と思っているのは、元々、このような長所があったればこそだったのですねぇ。

しかし、これらのことが消費税の税金としての特徴や、逆にデメリットに繋がっています。そのことについてはまた後日、まとめていきたいと思います。

 

それでは今日はお休みなさい。