平成政治の総括
くらげです。
受験絡みで色々と動きがあり、ほぼ方針が固まりました。
この卒論も水曜日(10月16日)には、ブログ記事のままではありますが、担当教授にお見せして、内容をより詰めてけると思います。
さて、本題に入ります。
卒論本論の中核である「消費税史 朝日新聞編」がまだ「その4」までしか行っておらず、時代にすると1989年から1990年の2年間ということで、平成全体を語るにはまだまだ足らないことも多いですが、まあ、大きな全体像は見えていますし、たぶん、変わらないと思います。
そこで、ものすごく早いですが、「平成政治の総括」を行いたいと思います。
平成政治の総括
こちらの図をご覧ください。
私が「消費増税スパイラル」と名付けたこの現象は、すでに指摘している方もいらっしゃるかもしれませんが、このような図にしたのは私が初だと自負しております。
さてぱっと見て、分からない人や異論がある人もいるかと思いますので、簡単に「消費税史」を振り返ってみましょう。
1週目のスパイラル
消費税導入
元号が昭和から平成へ切り替わったのは1989年1月のことで、その3か月後の4月には消費税が導入されました。まさに、平成は消費税とともに始まったわけです。
消費税をめぐって、喧々諤々の論争が行われていたことは既に「消費税史 朝日新聞編」でも触れたところです。
バブル景気の最中にあって、導入された3%の消費税はマクロ経済全体への影響は軽微でした。しかし、それよりも深刻な問題が発生しつつあったのです。
バブル崩壊
バブルが弾けたのがいつなのか、厳密には分かりませんが、現在(2019年)に至るまで日経平均最高値記録である、1989年年末の大納会の終値38,915.87円は株価バブルの頂点でした。
その後、金利の引き上げや土地規制などが入り、地価バブルも崩壊し、経済は本格的な不況に突入します、1991年頃からです。
景気対策としての公共事業
バブル崩壊による不景気から脱却するため、政府は主に公共投資を増大させました。私は、そのことを批判するつもりは毛頭ありませんが、メディアは散々叩きました。
赤字国債の発行により財政赤字も拡大し、「政治改革が必要」という世論はメデイアを中心に広がっていきました。
55年体制の崩壊
そして、1993年には細川政権が誕生し、1955年から続いた自民党与党時代はついに終わりました。
しかし、「政治改革」と威勢のいいことは言ってみたものの、政治はもめにもめ、結局「自社さ連立政権」という形で自民党が与党に復帰します。
94年消費税法改正
そして、誕生してほとんど間もなく、村山政権は1997年に消費税率を5%へ引き上げることを決定し、関連法を成立させます。
「政治改革」とは、結局消費増税のことだったのでしょうか?
2週目のスパイラル
97年消費増税
94年に決まっていた消費増税を決行したのが橋本政権です。
既に決まっていた消費増税とはいえ、96年にはそれを橋本政権も追認して、増税が実施されたわけですから、その責任から逃れられるはずもありません。
日本列島総不況
そして、消費増税を直接の原因として、日本経済はどん底に叩き落されました。
一部、アジア通貨危機が原因だ、と言っている人もいるようですが、そんなのはでたらめです。
財政赤字の拡大
景気が悪くなれば、税収は減りますし、失業者の増加などで社会保障費が増大します。
当然のことながら政府の財政赤字はさらに拡大し、政治改革の必要性がますます唱えられるようになります。
小泉改革
そのような改革機運を背景に2001年に誕生した小泉内閣ですから、当然「聖域なき構造改革」を推進していくことになります。
この小泉改革は、当時は持て囃されたものの、現在(2019年)ではあまり評判のいいものではありません。
ところで、一連の改革の中では、ついに消費増税が行われることはありませんでした。
内閣官房と財務省の権力闘争については、当時、竹中大臣の補佐官として内閣官房にいた高橋洋一氏が詳しく語っています。
3週目のスパイラル
回避された消費増税
結局、小泉政権では消費増税は行われませんでしたから、その点、「消費増税スパイラル」の図は不正確ですが、大目に見てください。
リーマンショック
消費増税は回避されましたが、経済危機はやってきました。
2008年のリーマンショックは、再び日本経済をどん底へと叩き落しました。
財政赤字の拡大
危機に直面した当時の麻生政権は、様々な景気対策を行いましたが、裏ではもちろん赤字国債がますます増大し、メディアからはその他さまざまなバッシングを受け、政権は間もなく崩壊しました。
民主党政権
今(2019年)では「悪夢の民主党政権」なんて言われていますが、2009年の総選挙で圧勝したのは民主党であり、その民主党に投票したのは日本国民だということを忘れてはなりません。
批判は簡単なので、少しだけ擁護しておくと、とにかく”不幸”な政権でした。
特に2011年の東日本大震災とそれに伴う福島原発事故では菅首相が散々にバッシングされました。しかし、政権担当の経験も浅く、政権基盤も弱体だった当時の菅政権には荷が重すぎました。
12年消費税法改正
そして、野田政権は「税と社会保障の一体改革」の総仕上げ(?)として、2014年に8%へ2015年に10%へと消費税率を引き上げることを決定しました。
4週目のスパイラル
14年消費増税
時系列的に多少前後しますが、2013年から始まった通称アベノミクスは「デフレからの脱却」を目指し、政策を総動員する…はずでしたが、14年にはすでに決定していた消費増税を実行してしまい、景気を失速させます。
景気後退
2013年から始まっていた日銀の「異次元の金融緩和」政策に支えられていたため、どん底とまではいきませんでしたが、2014年以降目に見えて景気は減速しました。
政府は景気後退の事実をかたくなに認めていませんが、もはや”大本営発表”と化しています。
緊縮財政
安倍政権は「プライマリーバランス黒字化目標」を掲げ、財政の緊縮を開始しました。
これは、財政赤字の拡大を抑制するための政策です。
アベノミクス
すでに2013年から、安倍政権の経済政策と一連の改革は始まっていました。
アベノミクスとは「大胆な金融政策」「機動的な財政出動」「民間投資を喚起する成長戦略」という3つの政策、三本の矢の総称です。
しかし、消費増税後の2014年からは改革が質的に変化し、「成長戦略」ばかりが強調され、そのための規制緩和などの政策が推進されていきました。
まとめ
「消費増税スパイラル」の図は、細かな部分では異論もあるでしょうが、平成政治はほとんどこの螺旋状の出来事として説明できると思います。
そして何よりも、この「失敗」と「衰退」のスパイラルは4周もした挙句に、結局そのドツボから脱出できないまま「平成」は終わってしまいました。
この悪循環は「デフレスパイラル」とも密接に関連していると思いますが、とにかく”いいこと”がありません。
ですから、早急にこの悪循環から脱出する必要があります。
少子高齢化と低成長の時代に、社会保障費の増大は避けられない問題です。そして、その社会保障と消費税を結び付けて考え始めてしまえば、社会保障費の増大と連動して消費税を上げていくというロジックになります。
しかし、平成30年を通して、いい加減に、「このロジックではうまく行かない」ということに気が付くべきではないでしょうか?4回やって駄目だったことを、今後も繰り返す意味があるのでしょうか?
平成政治を総括し、反省すべき教訓は、まさにその点にあると私は考えます。
19年消費増税
そして、「令和」の出来事ではありますが2019年には消費税率が10%に引き上げられました。これは「消費増税スパイラル」の5周目の始まりです。
安倍政権は様々な景気対策を打つことで、景気減速を回避しようとしていますが、果たしてどうなる事やら。